素材を気にせず購入した服が実は自宅での洗濯が難しい服だった…
こんな経験はありませんか?洋服の素材は実に多種多様で、原料や繊維で分類されます。また。素材が天然繊維であるか、化学繊維で作られたものかによっても、メリットやデメリットも異なるのです。
本記事では、洋服を購入する前に知っておきたい、素材の分類、種類、特徴、メリット、デメリットなどを解説します!
洋服の素材は大きく分けて2種類 | 天然繊維と化学繊維
洋服の素材は、大まかに天然繊維と化学繊維に分けられます。
天然繊維は自然界で得られる素材であり、化学繊維は人工的に合成された素材です。それぞれの素材の特徴やメリット、デメリットについて以下で詳しく解説します!
天然繊維の素材一覧
コットン/綿(植物繊維)
植物繊維のコットンは、様々な洋服によく使われる天然繊維の代表的な素材です。
その柔らかな肌触りと通気性により、快適な着心地を提供してくれます。主にTシャツやトレーナー、シャツなどで使用される素材です。
メリット | デメリット |
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優れた吸湿性と通気性により、汗を素早く吸収し蒸発させるため、ムレにくい 強くて丈夫。アイロンを直接当てても熱に強いため長持ち。 | シワができやすい。(特に、100%コットン製品はしわが目立つ) 洗濯時に縮みやすい |
リネン/麻(植物繊維)
リネンは、洋服の素材の中でも特に軽やかで涼しい着心地が魅力的な天然繊維です。
肌触りは少しザラザラしていて、春夏シーズンのシャツやワンピースなどによく用いられています。
メリット | デメリット |
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通気性が高く、吸湿性にも優れている さらっとした着心地 自然な風合いや独特のシワ感がもおしゃれな雰囲気を演出 | 水洗いするとシワができやすく、縮みやすい 伸縮性がない 色落ちしやすい |
ウール/毛(動物繊維)
ウールは動物繊維で大半は羊毛です。しかし、家庭用品品質表示法で、動物の毛であれば全て毛と表示しており、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、モヘア、キャメルも毛に分類されます。
温かみがある素材なので秋冬の定番であるコートやニットなどに用いられています。
メリット | デメリット |
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温かみがあり、高い保温性 弾力性があり膨らみがあるため、シワになりにくい 天然の抗菌防臭性があり、汗をかいてもベタつかない | 虫食いのリスクがある 水洗いで縮みやすい 毛玉ができやすい |
シルク/絹(動物繊維)
シルク(絹)は、かいこの繭から採れる動物繊維です。
その特徴は、なめらかで上品な光沢としなやかな肌触りです。シルクは高級感があり、特にドレスやブラウスなどの上品なアイテムによく用いられています。
メリット | デメリット |
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高い保湿性や吸水性がある 繊維が柔らかく滑らかで光沢があり、高級感がある 肌触りが良い | 摩擦に弱く、変色しやすい シワになりやすい 比較的高価な素材 |
化学繊維の素材一覧
レーヨン(再生繊維)
レーヨンは天然原料由来の「再生繊維」で木材パルプから採取する植物原料に薬品加工を施して作られた素材です。レーヨンは、ポリエステルやナイロンなどの石油ベースの「合成繊維」とは異なり、環境にも配慮したエコフレンドリーな素材です。主にスカートなどの素材に用いられています。
メリット | デメリット |
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通気性と吸湿性に優れ、肌触りが良い ドレープ性が高い 光沢があり、高級感がある | 水に弱く縮みやすい シワになりやすい 摩擦に弱い |
ポリノジック(再生繊維)
ポリノジックも再生繊維の一種であり、化学繊維の中でも天然素材に近い特性を持つ素材です。
ナチュラルな風合いと上品な光沢が特徴であり、シルクに近い肌触りがあり、ブラウスやワンピースなどに使用されることが多い素材です。
メリット | デメリット |
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熱に強く速乾性がある 柔らかくなめらかな肌触りで着心地が良い 色落ちしにくい | レーヨンよりは水に強いが、縮んだり型崩れしやすい シワになりやすい |
キュプラ(再生繊維)
コットンリンター(綿の実から綿花をとったあとに残った短い繊維)を主原料とした、高品質な繊維です。高級スーツの裏地などに、よく用いられることが多い繊維です。
メリット | デメリット |
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柔らかく滑らかな質感 湿気を素早く吸収して発散する シルクに似た艶やかな光沢感があり、上品な印象 | 縮みやすい。水に濡れると繊維が収縮しやすい 摩擦に弱い 毛羽立ちやすい |
リヨセル(再生繊維)
リヨセルは、天然繊維と化学繊維のいいとこどりをした素材です。ユーカリ(木材)を溶かして作られる再生繊維です。繊維の断面が円形で強度が高く、湿潤時の収縮や強度の低下が少ない繊維です。
また、溶剤を回収して再利用するため、廃液が環境中に放出されず、地球にも優しい繊維です。
メリット | デメリット |
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天然繊維のようなソフトな風合いがあり、適度に光沢感がある ドレープ性がある 吸湿性がある | 摩擦により毛羽立ちや白化しやすい 濡れると風合いが固くなる場合がある |
プロミックス(半合成繊維)
プロミックス(ProMIX)は、半合成繊維の一種であり、天然繊維と合成繊維をブレンドした素材です。
具体的には、ガゼインという牛乳のたんぱく質成分を溶解し、アクリロニトリルを結合させて紡糸した繊維で、日本で開発された繊維です。天然繊維の風合いや吸湿性、合成繊維の耐久性やシワになりにくさを兼ねそろえています。
メリット | デメリット |
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自然な風合いがあり、肌触りが良い 吸湿性と速乾性がある 合成繊維の強度を持ち合わせているため、耐久性があり、シワになりにくい | 合成繊維を含むため、折りジワが付きやすい 熱や摩擦に弱い |
トリアセテート(半合成繊維)
トリアセテートは、半合成繊維の一種で、セルロースを主成分とする人工繊維です。
天然素材であるセルロースを加工し、酢酸を用いて化学的に合成されます。
メリット | デメリット |
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接触冷感性があり、サラサラとして涼しい 速乾性がある 着用時にシワになりにくい | 濡れた状態だとシワになりやすく、その際に付いたシワは取れにくい 熱に弱い アルカリに弱い |
ナイロン(合成繊維)
ナイロンとは、主に石油を原料とする「ポリアミド」とよばれる合成樹脂から作られた繊維です。
元々は女性用のストッキングとして商品化されたのが始まりですが、合成繊維でありながらも染色しやすいという特性があるため、その後、スポーツウェアやアウトドアウェアやバックなどに幅広く用いられるようになり、世界中に広まりました。
メリット | デメリット |
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繊維の中で最高クラスの軽さ 摩擦に強く・弾力性もありシワになりにくい 虫やカビに強い | 紫外線に弱く、黄変し強度が低下する 吸水性や吸湿性が悪く、発汗時にベタつく 静電気が帯電しやすい |
ポリエステル(合成繊維)
「ポリエチレンテレフタレート」という化学物質を熱で融解し、長い繊維に紡ぎ上げたものが「ポリエステル」になります。
元々、ポリエステルは麻や綿を模倣するために開発されたのですが、最近では、光沢感のある素材なのでウエディングドレスなどにも用いられています。
余談ですが、実は、ペットボトルも同じ「ポリエチレンテレフタレート」から作られています!
メリット | デメリット |
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形状を保つことができ、シワになりにくい 速乾性に優れている 丈夫で切れにくい | 静電気が起きやすい 汚れやニオイを吸着しやすい 色落ちしやすい |
アクリル
アクリルは、石油から取れる「アクリロニトリル」を原料とする合成繊維です。柔らかく、軽量であるため、ウールに似た風合いを持ちながらも、ウールよりも手頃な価格で提供されています。
メリット | デメリット |
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柔らかい風合いで肌触りが良く、着心地が快適 軽い素材なので動きやすい 優れた保温性がある | 静電気が起きやすい 羽毛がつきやすい 伸縮性にやや欠ける |
ポリウレタン(合成繊維)
ポリウレタンは石油を主原料とした合成繊維の一つであり、元々は天然ゴムの代替品として開発され、柔らかく高い伸縮性を備えています。
ストレッチ素材とされる生地には、よくポリウレタンが使われていますね。
ちなみに、日本ではポリウレタンが一般名称ですが、アメリカでは『スパンデックス』と呼ばれています。
メリット | デメリット |
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弾力性に富む 軽量で柔らかく、軽やかな着心地 ストレッチ性に優れている | 紫外線に弱い 劣化が早い。空気中の水分や温度変化、紫外線などに反応して徐々に劣化し、製造から3年程度で劣化してしまう |
春夏に適している生地の素材
温度や湿度が高い春夏の洋服の生地に使われる素材は、以下の素材が代表的です。
- ポリエステル
軽量性や速乾性、耐久性に優れている
- コットン(綿)
通気性や吸水性に優れている
- リネン(麻)
通気性や吸湿性に優れている
- レーヨン
吸湿性や吸水性に優れている
- リヨセル
吸湿性や吸水性に優れている
秋冬に適している生地の素材
秋冬の洋服の生地に使われる素材は、以下の素材が代表的です。
- ウール
繊維内に空気をたっぷり含むため、抜群の保温性
- アクリル
ウールに最も近く、保温性や肌触りも良い
- シルク
保温性や吸湿性が高いうえに静電気が起こりにくい
まとめ | 季節やライフスタイルに合わせて最適な素材を選びましょう
今回は洋服に使われる素材の種類や特徴、メリットやデメリットを解説しました!
素材の知識があれば、季節やライフスタイルに合わせて最適な洋服を選択することができると思います。
気になる洋服を見つけたら、購入する前にもう一度、本記事をチェックしてみてくださいね。